コーチングを職業にして3年以上経ちました。おかげさまで徐々にクライアントが増えてきて、2年以上の長期間に渡り関わっているクライアントも複数人いらっしゃいます。
私がコーチとしてずっと問い続けてきたこと、そしてこれからも問い続けて行くことは例えば以下のようなことです。
・コーチングを通じてクライアントとともに生み出す価値はなんだろう?
・なぜその価値を生み出したいのだろう?
・どうしたらその価値をより高めることができるだろう?
・どうしたら実現できるだろう?
・その価値を生み出すことは自分や世界の未来にどのような意味があるだろう?
・今日できることはなんだろう?
これは「コーチング」という言葉を別のビジネスで置き換えれば何にでも当てはめることができると思いますので、是非御自身が取り組まれていることにも置き換えて考えてみてください。仮にサラリーマンだとしたら、「クライアント」は雇われ先の会社だったり、所属している部門の上司になるかもしれません。
さて、私はクライアントとともにどのような価値を生み出してきたのか?
「本当に望む現実の明確化」
そして、
「望む現実を創り出すために必要な自身の変化・成長の促進」
突き詰めてみると、この2つに主に取り組んでいるのだと思います。
「自身の変化・成長の促進」という価値を生み出そうとしているので、そもそも変化する意思がない場合にはコーチングは向きません。何か変化を起こしたい。そのために伴走してくれるパートナーが欲しいときにコーチングは役に立つと思います。
さて、「変化・成長の促進」を考えた時、大きく分けると2軸で考えることができます。これは「成人発達理論」などで紹介されている考え方です。
①水平的成長
②垂直的成長
です。
水平的成長は、知識、スキルなど実際に仕事や日常で使える能力を身につけていく感覚です。
一方で垂直的成長は、簡単に言えば人格面の成長です。人としての器の大きさとも言えます。
コーチングのテーマは多岐に渡るのですが、突き詰めれば上述の通り
「本当に望む現実の明確化」
と
「望む現実を創り出すために必要な自身の変化・成長の促進」
です。
「本当に望む現実」を明確にしたとき、その時点では、その現実は「実現」されていません。「今」–>「望む未来」の変化を起こすために自分自身がどのような変化をしなければならないか? 具体的に洗い出します。ここで大事なのは、他者や外部的な何かを変えるのではなく、自分自身を変えることがポイントです。
その結果として出てくるアクションが大きく分けて上述の2つ・・・つまり「水平的成長」と「垂直的成長」となります。
例えば、企業の管理職の方の場合、
「部下にもっと高いモチベーションを持って期待する成果をあげつつ、より創造的に働いて欲しい」などの希望を持っている方が多いのではないでしょうか。
では、どうしたらその現実を創り出すことができるのか?
相手を変えることを第一目標にするのではなく、自分自身がどのように進化発展したら、そのような現実を創り出せる人物になれるのかを考えるのです。
言い換えれば、そのようなことができる人物はどのような人物なのか、具体的にイメージし、現在の自分とのギャップを明らかにし、ギャップを埋めていけるような行動をしていきます。
その際に、私がコーチとしても、一人の人としても必ず大切にしていること・・・実際にこれまで多くのクライアントと関わってきて、実感していること・・・として、「垂直的成長」があげられます。つまり、精神面での成長、器を大きくすること・・・もう1つあえて言えば、「悟り」に近づいていくこと・・・物事のあるがままを観察し、一切ジャッジせず、無条件の愛と優しさを持って受け容れる・・・そんな状態です。
もちろん、「話の聞き方」とか「1on1ミーティングの仕方」などのような表面的なスキルも大事です。しかしもっと大事なことは、変わって欲しい部下との関わり合いの中で自分自身がどのような精神状態で関わっているか? 部下との関わりを通じてどのような感情が沸き起こり、その結果どのような反応や対応をしているか? こちらが極めて大事になってくるのです。コンピュータで言えば、さまざまなアプリケーション・ソフトが「水平的成長」、基本機能にあたるO/S(オペレーティング・システム)が「垂直的成長」です。
自分や関わる人を望む方向に向けて、意識の深いレベルで動かしていくには、意識の深いレベルでの気づきに基づいて、自分の意識を進化・変容させていくことがもっとも重要です。本当は全ての人は・・・森羅万象すべてのものは・・・意識の深いレベルで繋がっています。それができるようになったとき、これまで問題だと思っていたことが問題ではなくなり、気がつけば望む現実が実現されていきます。もしかしたら、特定の部下を動かすことはできないかもしれません。でも望む現実を実現するために必要なことが必ず引き寄せられてきます。原因と結果の法則や、引き寄せの法則などを聞いたことがあると思います。これらを起こすためには「垂直的成長」が必要です。
私自身、「垂直的成長」をずっと心がけて日々の学びと実践を積み重ねてきました。これから死ぬまで積み重ねるのだと思います。私の人生のミッションの1つは「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」ですが、「強い」=「水平的成長」、「優しい」=「垂直的成長」と今では捉えています。
「垂直的成長」をすればするほど、必要な人を引き寄せられるようになります。一人で「水平的成長」をするのには限界がありますが、「垂直的成長」には限界がありません。「水平的成長」をした無数の人との関わりを通じて、人生のミッション・ビジョンを実現していく。そんな関わり方をコーチとしても一人の人としても大切にしています。